大統領選迫る2008年03月01日 07時01分48秒

赤の広場近くに設けられている巨大広告。すごく目立つ
 2日は第3代ロシア大統領を決める選挙の投開票日。政党の支援を受けた4人が立候補しているが、プーチン現大統領が後継者として指名したメドベージェフ第1副首相が大勝するとみられている。

 メドベージェフはプーチン大統領の大学の後輩。仕事上でもプーチン大統領の忠実な腹心として仕事をこなしてきた。

 西側諸国からは、リベラルと評価が高く、第1副首相時代は、ロシアの好調な経済の「舵取り役」を果たしてきた。

 注目すべきはその年齢。なんと42歳と大変若い。表情も明るく、プーチン大統領のような厳しい印象もない。

 ところが、大統領選の中で主張する政策はプーチン政策をなぞるものばかりだ。プーチン大統領とは先輩後輩の間柄、後継指名は幾人かのライバルを押しのけて獲得したこと、大統領になれば、プーチン大統領を首相に任命することを公言していることなど、こうした状況を総合的に判断すれば、年齢ほどの若返りは期待できない気がする。

 こうした2人の蜜月ぶりを象徴するかのような巨大広告が赤の広場近くに設置されている。2人が肩を組んで「一緒に勝利する」などと書いてある。公職選挙法上、日本ではあり得ない広告だ(笑)。

 ほかの候補者は、共産党のジュガーノフ委員長、自民党のジリノフスキー党首、民主党のバグダーノフ党首の3人。

生プーチン激写!①2008年03月02日 17時30分00秒

開会式に出席するプーチン大統領(右から3人目)とメドベージェフ氏(左)
 プーチンとメドベージェフをファインダーに収めた--。

 プーチン大統領の後任を決める大統領選を前日に控えた1日、同大統領と当選が確実視されている第1副首相のメドベージェフ氏がモスクワ大学で開かれたスキーのフリースタイル「エアリアル」の国際大会を観戦。たまたま会場に居合わせていたため、貴重なツーショットをとらえることに成功した。

 同大本館の正面に設けられた仮設スキー場(高さ約50メートル)が会場。大会は午後6時から始まり、開会式中、司会者が「今日はプーチン大統領も来ています」とアナウンスすると、会場からは驚きの声と拍手が起きた。

 貴賓席にはプーチン大統領だけでなく、何と後継指名を受けたメドベージェフ氏もいるではないか!選挙戦直後に競技観戦とは。当選はもはや揺るがないとでも言いたげな、実に余裕たっぷりの表情だった。

 大会を純粋に観戦しようと、同じ寮の日本人2人と訪れていたが、VIPのツーショットを撮るチャンスが転がり込んだため、競技そっちのけで激写。最初の立ち位置からは2人が遠かったため、人込みを押し分け、接近。ちなみに使用機種はニコンD100。300ミリの望遠レンズに付けかけ、ISO感度も1600まで上げて撮影に臨んだ。

 なかなかの出来栄えに大満足だった。

生プーチン激写!②2008年03月02日 17時30分33秒

仮設競技場(右)とモスクワ大本館(左)
 本題の競技のことも書きたい。地元ロシア、ベラルーシ、中国、ウクライナ、フランスなど十数カ国から選手が参加。

 エアリアルは、ストックを持たずにジャンプ台めがけて滑走。ジャンプした後の空中でのアクロバティックな演技の美しさなどが採点される競技だ。

 参加者は空中でひねりながら複数回にわたって回転するなど、難易度の高い技を披露。大技が成功するたびに観客らからは盛んに拍手が送られた。

 今回大会のために設置された仮設競技場は高さ約48メートル。世界一の規模だという。厳かなモスクワ大学の目の前に突如巨大な競技場が組み上げられ、面白い光景となった。

生プーチン激写!③2008年03月02日 17時30分54秒

大技を披露する選手
 選手らは大きなジャンプ台を飛び越えると高々と空中に舞い上がり、縦横の回転を繰り出す。しりもちをつかずに着地が決まると実にかっこいい。

 ロシアの選手が登場すると会場のボルテージは一層高まった。また、小さなジャンプ台ではまだ経験が浅いとみられるモンゴルの選手が頑張って1回転を成功させると、観客からは温かい歓声が上がった。

お笑い大統領選2008年03月03日 05時21分59秒

 プーチン大統領の後任は前評判通り、メドベージェフ氏へ--。

 4人の候補者が争った大統領選の投票が2日あり、即日開票された。

 テレビ報道などによると、同日午後10時半(日本時間3日午前4時半)現在で、同大統領が後継者に指名した第1副首相のメドベージェフ氏が投票数の66.74%を獲得し、当選確実を決めた。次点は共産党委員長のジュガーノフ氏(得票率18.93%)で、自民党党首のジリノフスキー氏(同11.56%)、民主党党首のバグダーノフ氏(同1.45%)と続いた。最終的な開票結果は7日、中央選管が発表する予定。

 結果はすでに決まったような選挙戦で、面白みは全くなかった。試しに投票を終えた有権者に話を聞いてみると、ロシアの国政の安定や引き続き経済発展などを求める声が強く、それを体現できるのがメドベージェフ氏ということだという。

 面白かったのは、メドベージェフ氏の勝利宣言だ。選挙特番が午後9時前から始まり、しばらく見ていると、スタジオでジャーナリストや専門家らがスタジオでコメントしていた映像が急にコンサートの中継に切り替わった。「何だ?」と思って注意深く見ていると、どうやら選挙実施を祝うコンサートが赤の広場で開かれ、それを生中継しているらしい。その後断続的に、専門家のシリアスな話の合間にへたくそなコンサートの様子に映像が切り替わるようになり、うんざりしていると、あり得ない事態が発生。

 午後11時ごろ、コンサート会場でもスタジオでもない、新たな中継がスタート。大統領の執務室があるクレムリンから2人の男が歩いて出てくる様子が映し出されている。

 なんと、プーチン大統領とメドベージェフ氏ではないか!皮のコート姿のプーチン、革ジャン、ジーパン姿のメドベージェフ。とってもラフな格好で並んで歩いているのである。雪が降る中ゆっくり歩く様子はまるで演歌の一こま。祝日には天気を操作して晴れにできるぐらいの技術を持っているこの国のことだから、降雪が演出だったとしても驚きはない。

 直後、事態を把握した。2人はそのしょうもないコンサート会場に向かっているのだ(笑)。そうした映像は会場でも巨大ビジョンに映し出され、観客から大歓声が巻き起こった。

 2人が到着してステージに上がると、会場のボルテージは最高潮に(笑)。そこでメドベージェフ氏は「我々は一緒に勝利したんだ!ウラー(ロシア語で「万歳」の意)」と勝利宣言。プーチンも「少しだけしゃべらせてくれ。選挙は終わった。メドベージェフは選挙戦で首位に立った。勝利を祝おうじゃないか」。一体どこで勝利宣言しとんねん!(笑)。

■コンサートで勝利宣言するメドベージェフ氏とプーチン大統領(ロシア民放「ピエルヴィ・カナル(Первый канал)」のホームページ)
http://www.1tv.ru/owa/win/ort6_main.main?p_news_title_id=117661&p_news_razdel_id=11

■同(民放「エヌ・テー・ベー(НТВ)」のホームページ)
http://news.ntv.ru/127485/

 最後に2人はステージ上で握手を交わし、退場。あまりの茶番劇ぶりにテレビの前でしばらく笑いが止まらなかった。

 日本なら大きな選挙の場合、党本部なり選挙事務所なりでシリアスな記者会見を開くのが常識。後から考えると、そもそも2人が歩いてくるところを万全の態勢でカメラクルーが追尾しているところも、テレビ局もぐるになった「演出」だったということが容易に想像できる。

 コンサートを開いた団体はよくわからい。しかし、どう考えてもクレムリン(大統領側)の肝いりで結成された団体に違いない。今回も突っ込みどころ満載の選挙戦だった。